一日一話

光輝く日々よ!それが過ぎ去ったことを嘆くのではなく、それがかつてあったことを笑おうではないか ヴィクトール フランクル

ある帰国子女の悩み

もう20年以上前のある日のこと。一人の中学1年生になったばかりの女の子が私の経営している英語塾を訪ねてきました。彼女の希望はアメリカ人講師との一対一の個人指導でした.私は一対一の個人指導は料金が高いので大人数のクラスもありますよ、と言いましたが彼女はどうしても一対一の個人指導クラスに入りたいと言います.

そこでその理由を聞くと生まれてから小学校6年までお父さんの仕事の関係でアメリカの小学校に通っていたということでした。それで帰国して地元の中学校に入って英語クラスに出て先生に指名されて教科書を読んだらクラスのみんなからクスクス笑われたというのです.それは中学校の先生が教えている日本式の発音ではなくてアメリカの本場の発音で読んだので生徒達がびっくりした反応でした.それがショックで彼女はそれ以来学校では日本式発音で教科書を読むようにしているので週に1回ぐらい自分の慣れ親しんでいるアメリカで習った発音でアメリカ人講師と思いっきり話したいというのが彼女の希望でした。皆と違う正しい発音で読むと笑われるという日本の英語のクラス。そしてみんなに合わせないと周りとうまくやっていけないと言う恐怖。この異質なものを排除するという雰囲気。

これは大人社会だけではなく子ども社会にもすっかり当てはまるのだなあと思いました。